こんにちは、就活アドバイザーのSINOです。前回の記事でご紹介したクランボルツ教授の「計画された偶発性理論」の続編です。このセオリーは、たとえ自分のキャリアに想定外のこと(トラブルなど)が訪れたとしても、柔軟に対応することが大事で、ポジティブに職業を選択していくべきだという考え方です。まだ前の記事を読んでいない人は、下のリンクから飛びますのでぜひ読んでみてください。
クランボルツ理論で就活成功へ!【変化の時代に強いキャリア戦略】
クランボルツ教授はさらに面白いことを述べています。
「ピンチはチャンス!」と言う言葉、あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか。この言葉は私も大好きで、就活をしているときだけではなく、きっと社会に出てからも、私たちがたびたび経験する 「思いがけないトラブル」が起きたときや、自分の思い通りにいかなくなったとき、ベストな発想の転換であり、ポジティブな幸せの法則です。これはキャリアの成功につながるとても大事な考え方です。クランボルツ教授は「ピンチ」を柔軟に捉えて、そこで決して止まってしまうことなく「行動に移す」ことで、新たな「チャンス」に巡り合えると教えてくれています。
私はクランボルツ理論を、キャリアコンサルタントの勉強を通じてはじめて知ったとき、「あ、これ私のことだ。」 と思いました。実は私自身がそのときそのときの流れでチャンスを活かし、職を変え、新しい知識を補い、そして現在のキャリアまで成長してきているからです。その話はまた後ほどお伝えするとして、例えば、あなたはこんな経験ありませんか?
「本当は〇〇〇〇をやりたくて頑張ってきたのに、〇〇のせいでその道が閉ざされた。」
「〇〇〇〇になることを目標にしていたのにもうそれができないなら、将来が見えない。」
こうした出来事はネガティブに捉えがちですが、客観視して捉え方を変換することが大事です。
キャリアは決して思い通りにはならないもの。だからこそ、そのときそのときで柔軟になり、自らのキャリアを歩んでいく方法を身につけるべきと私自身も経験から学んでいるので、ここではクランボルツ理論の続編を書きます。
目次
現代社会で求められる柔軟なキャリア形成とは
クランボルツ教授の『計画された偶発性』というセオリーは、先が見えずに前進できなくなった就活生のみならず、現代社会を生きる社会人が自分自身のキャリアをより良いものにしていこうとするためにも、とても有効なキャリア形成術といえます。
【現代社会を生きる社会人が抱える問題】
1急速な社会環境の変化 ・・・現代社会は技術革新や経済のグローバル化によって急速に変化しています。そのため長期的なキャリアの見通しが立ちにくくなり、計画的な人生設計が難しくなりました。
2長寿化とキャリアの多様化 ・・・平均寿命が延びて人生が長くなったことで、一生涯に迎える転機も増えました。その都度、自分でキャリアをデザインしていく必要があります。
偶然を計画的に活かすために ~ 行動指針5箇条 ~
『行動を起こせば 想定外(偶然)の出来事(チャンス)に出会うことがある』ジョン・D・クランボルツ
クランボルツ教授は「偶然のチャンス」というものは、なんと!意図的に作れるものだと述べています。つまり、自分にとっての「良い流れ(チャンス)」は、自分次第で訪れるものだということです。ただし、偶然のチャンスが引き寄せるには、行動だけではなく日頃の心がけや姿勢や態度が大事です。
就職活動をしていると「なかなか思い通りにならない」ということは、本当によくあることと思います。日常茶飯事のように感じているという就活生も多いことでしょう。たとえ道が閉ざされても、次の5つの姿勢・態度を備えていると、よい偶然(チャンス)に出会う可能性が高まりますよ!
【チャンスをものにできる人になる行動指針5箇条】
- 好奇心 常に新しい学習の機会を模索すること。例えば、新しい業界のセミナーに参加してみるのも良いでしょう。たえず新しい学習の機会を模索し続けている
- 持続性 失敗に屈せずに努力を続けること。失敗から学び、再挑戦する姿勢が大切です。失敗に屈せずに努力をし続けている
- 楽観性 新しいチャンスが必ず実現するとポジティブに考えること。楽観的な思考は行動力を生み、予期しないチャンスに繋がります。新しいチャンスが必ず実現する 可能になるとポジティブに考える
- 柔軟性 固執せずに信念、概念、態度、行動を変えること。目標が達成できなかった場合も、他のキャリアパスを柔軟に考えることで新たな道が開けます。こだわりを捨てて、信念、概念、態度、行動を変える
- 冒険心 結果が不確実でもリスクをとって行動を起こすこと。新しいチャレンジを恐れずに受け入れましょう。結果が不確実でも、リスクをとって行動を起こす
キャリアは自分の思い通りにならないもの
チャンスをただ待っているのではなく、自ら作り出せるように積極的に行動したり、周囲の出来事に神経を研ぎ澄ませたりして偶然を意図的につくりだし、自分のステップアップへの機会にしていくべきということです。どのようなときもネガティブに考えていたり、いつまでもこだわりを捨てきれないでいると、チャンスをチャンスと捉えらず、有益な情報を見逃してしまいます。
アメリカの社会人調査によれば、18歳の時点で「こうなりたい!」と考えていた職業に実際に就いている人の割合はわずか2%です。キャリアは計画通りにはいかないものだとクランボルツ教授は述べています。人生はままならないものですが、一方で「縁は異なもの♥」でもあります。アンテナを高めて、新しい情報や出会いを引き寄せましょう。大事になるのはつぎの3つの姿勢です。
●ポジティブにものごとを捉え、行動を起こし、新たなチャンスを待つ!
●自分に自信を持つ❗️
●前向きに学びを続けていく❗️
就活生の成功例
- 新しい経験を積極的に求める 将来はエンジニアになろうと考え、大学でITの専門的な知識を学んできた学生でした。IT企業を中心に何社も何社も受けたのですが内定がもらえず、次第に疲弊して相談に訪れました。心の内はすでに「エンジニアになりたい」から「向いていないのかもしれない」に変わっていました。彼女は名前の知れた会社に憧れをもっていました。休みの日は気分転換に家電量販店をふらり行くのがリラクゼーションになるというので、その家電量販店の総合職にエントリーしてみてはどうかと提案。いままで考えたこともなかったようでしたが、さっそく行動に移しエントリーすると、1次、2次を通過。最終試験までとんとん拍子で到達です。嬉しそうな笑顔が武器になり、最後は面接官と信頼関係が築けたそうで内定に至りました。企業から認められ、求められて働けることは嬉しいので、結果的に良かったですと語ってくれました。
- コロナがきっかけで入社後新しい職種へ 海外からのインバウンド客を対応する外資系企業に内定をもらった学生でした。語学を活かし旅行関係の仕事に就きたかったので就職先には満足していたのですが、コロナ感染拡大で4月入社が9月入社に延期に。その先もさらに見えなくなりました。憧れていた旅行関係の仕事やホテル関係もすべて先行き不安定に。転職を決意したと相談に来ました。WEBデザインに少し興味をもっていることや、オフィス内でも人と関わる楽しさがあるなど、柔軟に物事を考えられるようになりました。その後、無事にWEB制作の企業から内定をもらい、いまも働いています。
私のキャリアを事例として赤裸々に語ります
過去を振り返ってみると、私自身のキャリアも「計画された偶発性理論」に沿ったキャリア形成をしてきたことに気づいたので、生の事例として赤裸々に語ります。
就活生の頃の私はやりたい仕事も特になくて、就活は企業名で決めていた部分が大きく、何でもやれるだろうと思っていました。最初に受けた企業が住友信託銀行。この企業から内定をいただき採用担当の方の熱意によってここに就職しようと決意しました。希望通り不動産部への配属も叶えられ、私にとって大事な職場となったのですが、わずか数年で退社。理由は社内の方との縁談です。当時は社内での祝い事はどちらかが退職という決まりがあった時代でした。そして退社をした後、破談になったことが私が深いネガティブの沼に陥った原因です。
転職活動を始めた私を救ってくれたのが大手制御機器メーカーのオムロンでした。総務部で社員の社宅を担当し、その後は部署が異動になり、社内広報や役員サポートの仕事にも就きました。なかなか経験できない緊張を伴う政財界を間近にお仕事をさせていただき、成長していく自分を日々感じていましたが、ネガティブ感情はまだ消えません。それでも前に進むことだけは辞めませんでした。
ある日、財界トップの方と直接お話をさせていただく貴重な機会がありました。私の心の底の気持ちを見抜かれて「自分に起こるすべての出来事は仕組まれており、それをどのように考え次に生かしていくかが大事である。」とご教示してくださいました。いまの人脈、職場、新しい職場での友人、さまざまな経験を得られたのは、あのトラブルがあって退職を余儀なくされたからこそ。実はあの出来事は、次のチャンスへの一歩だったと教えてくださったこの方は、住友信託銀行の特別顧問の方です。
その後、私はインテリア業界にも挑戦しキャリアの大冒険をしました。ここでの仕事は、私のクリエイティブな側面を引き出してくれました。お客様と直接コミュニケーションをとる仕事、コンサルティング力を発揮することでさらなる成長の機会を与えてくれました。日本橋三越店ではVIP顧客の対応やスタッフ育成など全てを責任者として行って、プロのコミュニケーションスキルとリーダーシップ力を磨きました。
その先も私にはピンチが付きまとい、次のキャリアチェンジにつないだ経験がまだまだ続きます。そしてこれらすべての経験が、現在の就活アドバイザーとしてのキャリアに繋がっています。
クランボルツ理論の「計画された偶発性理論」が示すように、どんな状況でも前向きに行動し続けていくことは、本当に大事なことです。もし、過去の私にいま私が指摘できるなら、新しいチャンスをつかんだときには、少しでも早い段階でネガティブからポジティブに切り替えられたらよかったなと思います。あなたもどうか、予期しない出来事が起こってもそれを恐れず、それもあなたのキャリアの一部と考えてポジティブに邁進して欲しいと願っています。
偶然のチャンスを捉えるための具体的な方法
●異業種への転換
新しいことに目を向けてみることで、思いがけないチャンスに出会うことができます。例えば、異業種のインターンシップやボランティア活動に参加することで、自分のキャリアの幅を広げることができます。
●ネットワーキングを活用する
人との繋がりを大切にし、積極的にネットワーキングイベントやセミナーに参加することで、新しい情報や機会を得ることができます。就職活動の中で得た繋がりが、思いがけないキャリアチャンスに繋がることもあります。
●柔軟な思考を持つ
ひとつのキャリアに固執せずに柔軟に考えることで、新しいチャンスを捉えることができます。自分の強みや興味を活かせる分野を見つけるために、常に柔軟な視点でキャリアを考えましょう。
最後に
自分の思い通りにいかないことが多い現代社会ですが、そんなときも柔軟に対応して、成功への道を切り開くことができるということを、この記事で理解してもらえたなら嬉しいなと思います。予期しないような一見ネガティブな出来事であっても、それは「すべてチャンス」と捉えて、止まることなく行動を続けていくことが大事です。
本当はなりたかった職業があったとして、その職業に実際は就けなかったとしても、人生のすべてが台無しになっているわけではないです。必要以上に悲観的にならずに客観視をすれば、自己成長の機会と捉えられるはずです。このように、出来事のひとつひとつを大事に考えてみてください。
自分にとって何が本当にふさわしい職業なのかは、正直、実際にその職業に就いてみなければわかりません。あんなにやりたかった職業なのに、実際に就いてみたら違うという事例もありますし、最初はそれほどやりたい仕事ではなかったはずなのに、後になってみると「天職」と思える仕事に出会ったという事例もよくあります。常に前向きに学び続けて成長していこうとすれば、あなたのキャリアはきっと楽しく豊かで充実したものになるでしょう。
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