「PRできることが何もないんです。たいした成果を挙げたことないし、誰かから認められた実績もなくて、自信を持ってPRできることが何もないんです。」
社会人とは違って学生にとっては『実績』といっても授業内でのことだったり、そもそも経験自体が少ないため、就活で話すほどの内容がなくて悩むのは無理もありません。でも、心配しないでください。それほどたいした実績や成果がなくても大丈夫です!なぜなら、新卒採用は応募者の輝かしい成果や実績に期待しているわけではないからです。
目次
企業は何に対して評価するのか?
企業が評価するのは、何をしたかではなく、何にどのように取り組んだか。取り組む姿勢や考え方です。
「それほど大したことをやっていない。」 そう口にする学生は、自分が何をしたかという『経験の内容』と『その結果』に意識が向いています。しかし、採用側の評価のポイントはそこではありません。本当です。
私は大勢の就活生から相談を受けてきました。これまでにそれぞれが取り組んできた様々なことについて話を聞いていますが、「取り組んだことが何もない」と言っている学生も、よく話を聞いてみれば、親の手伝いや介護の手伝い、ボランティア、アルバイト、クラブ活動、習い事、塾、趣味、大学のゼミなど、何かしら取り組んでいて時間を費やしてきていました。
実例:ゲームセンター通いの学生
少し変わったことに時間を費やしてきた学生さんもいました。ゲームが好きで、ほぼ毎日のように街のゲームセンターに通っているという学生です。ゲームならば自宅ですればいいのに「なぜゲームセンターにこだわるの?」と質問してみたところ、彼女にとってゲームセンターはスポーツクラブのような場所で、友人とコミュニケーションをとったり、リズムに合わせて身体を動かして、汗を流すには最高の場所とのこと。
彼女にとってゲームセンターで過ごしてきた時間は、ただ遊びに行くだけの時間ではなく、多くの意味がある場所でした。『たいしたことではない』『当たり前』と思っていることでも、改めて深く考えてみれば、そこで何かを学んだり、何かを得ていることがあるのではないでしょうか。
結局、ゲームセンターで過ごした時間がなければ彼女の健康的ではつらつとした雰囲気はなかったこと、友人との出会いなどに改めて気づき、それらを自己PRにまとめ、面接で伝えることにしました。どの企業の人事の方からも好印象を受け、その後、彼女は第一志望の大手有名ゲーム企業の最終面接まで進みました。結果は残念でしたが、最終的には大手のIT企業に就職が決まりました。
実例:新体操を続けてきた学生
もう一つの事例です。やはり「PRできることがない」と相談に訪れた学生です。自ら進んで何かを頑張ったことが何もないというのですが、よく話を聞いてみたら、彼女は5歳の頃からずっと新体操を習っているのです。親に薦められたから始めただけで、楽しいと感じたことは一度もなかったそうです。高校まで13年も続けてきて、今は辞めてしまったと話してくれました。
「そんなに長く続けてきたのに、なぜそのことをPRしないの?」 私が理由を聴いてみると、「自ら進んで始めたわけではないし、それほど好きでやってきたわけではない。長く続けてきた理由はたまたま辞めるタイミングがなかっただけ。それに何かの賞をもらったわけでもない。PRできる成果もないからです。」
それを聞いて、さらに私は彼女にこう質問してみました。 「もしあなたが幼少時代からその習い事をしていなかったとしたら、いまのあなたと全く同じあなたがここにいると思う?」
すると…。 「うーん確かに。もしやっていなかったらいまの私とは違う気がします。多少のことじゃ辞めないところは習い事から養ったかもしれないですね。あと多少体力もついたかな。』
あまり好きでもない習い事を長く続けられたのは、彼女の粘り強さや負けず嫌いな性格があったからです。いまの勝ち気で健康的な雰囲気も、少なからず習い事の影響ではないかと感じました。彼女自身もようやくそのことに気付いた様子でした。
「そう考えると、新体操を続けてきたおかげで養えたものがあったんですね。いま気がつきました。PRが書けそうな気がしてきました。」と嬉しそうに言いました。
習い事を辞めずに続けてきた理由を彼女は最初『仕方なく』と話していましたが、改めてフィードバックしてみると、実はそこに『負けたくない』という悔しさや、関わりのある周囲の方への複雑な思いも絡んでいたことが分かり、そのことも自己PRに書きました。
過去の経験があるから現在の彼女の姿があるのです。『何に対してどのような気持ちや姿勢で取り組んできたか。』それが重要です。彼女はその後、習い事で培った自分の考え方や取り組む姿勢を強みにして、自己PRを完成させて面接に挑みました。大学の学部と異なるIT企業にチャレンジして、東証一部上場の情報セキュリティ企業に内定!自分でもびっくりして喜んでいました。
良かった経験も、良くない経験も全てがプラスになる!
良かった経験も、そうでない経験も、あなたの過去のすべてがこれから先のあなたにとってプラスです。これまでの経験があるから『未来』があり、『成長』があります。過去のさまざまな経験を思い出してプラスに考え、自己PRをつくってみましょう。就活では自分のこれまでの経験を、自信を持って他人に話さなければなりません。自分を謙虚に評価する人が多いですが、就活ではその謙虚さは損をしてしまいます。これまでの自分を認めてあげましょう。そして自分に自信を持ちましょう!
過去の経験の振り返り方をシェアします!
あなたはこれまで、どんな経験をしてきましたか?これを機会に、ひとつひとつ過去の経験をフィードバックしてみましょう。その方法をシェアします。
【過去の経験フィードバック】
- 過去の自分の行動をノートに書き出してみましょう。たいしたことがないと思う内容でもかまいません。
- 生まれてからこれまでの経験のなかで、以下について書き出してみましょう。
- 一生懸命やってきたこと
- 楽しいと感じたこと
- いちばん嬉しかったこと
- 印象に残っている出来事
- つらかったこと
- 失敗したこと
そのときのことがフィードバックされてくると思います。過去の経験と丁寧に向き合ってみてください。振り返って考えることで新たな側面が見えたり、新しい考え方や行動のきっかけになることもあります。強みもきっと見つかるはずです。自己PRづくりのヒントに役立ててください。
この記事を読んだあなたへSINOからのメッセージ
過去の実績や経験がない人はいません。なぜなら、実績とは単に大きな成果や数字だけを意味するものではないからです。実績には、あなたが何に取り組み、どう努力し、どのように成長してきたかというプロセスも含まれます。数字や賞に見える成果だけが実績ではなく、あなたの過去のすべての経験が実績です。
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