こんにちは。就活アドバイザーのSINOです。今回は、学生時代に頑張ったことや力を入れたことを書きたくても「書くことがなくて困っている」という就活生のためのアドバイスです。ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は、エントリーシートだけでなく、面接でも必ずといっていいほど聞かれます。「書くことがない」と悩んでいる人はこの記事を読み進めてください。
そうすれば、あなたなりのガクチカを書くことができるようになります。
✔ 自分は学生時代たいしたことをしていない
✔ それほど頑張ってきたことがない
「書くことがない」と悩んでいる理由は、大抵この2つでしょう。「学生時代に頑張ったこと」という質問だから、過去に自分が頑張った出来事がないかどうかあれこれ考えてみたけれど、何もないと思っている人。または、学生時代に取り組んだことはあるけれど、わざわざ就活でアピールするほどのことではないと考えている人。でも、『ガクチカ』はちゃんと書けます。安心してください。
私は就活生の就活サポートの仕事をして10年目になります。それ以前は民間企業で20年以上働いていました。また、転職も数回経験しているので私自身が面接経験豊富です。採用側と求職者としての実経験からの独自のアドバイスであり実践的です。
それでは『ガクチカ』の意図をわかりやすく解説していきます。
目次
ガクチカ質問の意図(採用が知りたいのは頑張ってきたことではない)
採用側がこの質問で一番知りたいことは、あなたが『頑張ってきたことは何か』ではなく、『その取り組みを通じて何を学び、それを社会でどう活かせると考えているか』です。
つまり、この質問に対してあなたが最も伝えるべきことは、『その取り組みを通じて何を学び(どのような考え方を養い)、それを社会でどう活かしていけるか』です。
ガクチカを質問する採用側の意図
✔ どのようなことに熱意をもって取り組むか(やりがいを感じるか)を知りたい
✔ 打ち込んだことから何を学んだか(考え方も含めて)を知りたい
✔ 就職後、仕事にどう取り組み、努力できるのかをイメージしたい
✔ 総じて人間性を知ることで、会社にふさわしい人材かどうかを知りたい
これらが質問の意図です。
つまり採用側の目線では、その人の頑張ったエピソードを聞きたいわけではなく、「人としてどんな人なのかを知るための質問」というわけです。そのことを念頭に置いてエントリーシートを記入し、面接で話すことで「ガクチカ」の回答は魅力的なものになるのです。
『学生時代に頑張ったこと』も自己アピール!
高校生以降に、あなたが一番成長できたと感じる考え方や身につけた能力は何ですか?
高校生の頃と今のあなたとの違いを考えてみてください。18歳の頃の自分と現在のあなたは全く同じですか? スキルだけでなく、精神面や内面的な成長もあるのではないでしょうか?どんなところが成長していますか?
『ガクチカ』の質問は、あなたが大学時代に人として成長した考え方や能力を、面接官に伝えるための質問と考えてください。つまり、今のあなたが持っている価値観や能力を先に考えて、それらをどの経験で養ったかを振り返ると、書きやすくなります。その価値観や能力はどの経験で養いましたか?アルバイトですか?大学の研究ですか?サークルのリーダー経験ですか?
『学生時代に頑張ったこと』の質問は、面接官に大学時代に養われた価値観や能力を伝えるためのものです。それらを養った経験を「頑張ったこと」としてエピソードにまとめましょう。
伝えるべきことを先に考え、その後にエピソードを付けることで、内容がより濃くなります。
例えば、ある学生は『難しい物事や課題にも積極的に取り組むことの大切さ』を感じています。この考え方は高校生の頃の自分にはありませんでした。つまり、大学生になってから自然と養われた価値観でした。この価値観をアピールするためには、経験談(エピソード)を付ける必要があります。この価値観が養われた過去の出来事を思い出してみたところ、大学の研究でとても難しい課題に取り組んだことで自然と身についたことがわかりました。
文章のスタートはこうなります。
私が頑張ったことは、大学での〇〇〇の研究です。こういう理由で私はこれに力を入れました。・・・・・・・(そして後半に)この経験を通じて、難しい物事や課題にも積極的に取り組むことの大切さを学ぶことができました。・・・(結び)社会でもこの学びを活かし、・・してまいります。
このような流れで文章を作っていきます。
ガクチカについては、他にも記事を載せていますので、そちらも参考にしてください。
文章の後半は意欲を込める
文章に意欲を込めることがとても重要です。エピソードだけを伝えて終わってしまう内容では、面接官に頑張った出来事の思い出話を聞かされているだけになってしまい、意欲は伝わりません。
学生のエントリーシートを添削していると、意欲的なメッセージが書かれていないまま文章が完結していることが多いです。アプローチ的なコメントがなければ、意欲的な文章を書いている他の学生と比較された時、書類選考で負けてしまいます。採用の場では、質問に対してストレートな回答で終わる場合もありますが、ガクチカに関してはぜひ意欲も込めてほしいと思います。
ガクチカとは要するに、「自分はこのような経験をして頑張ったからこそ、こうした考え方が養われました。この考え方は社会人としても必要なものなので、入社したら必ずその能力を活かして貴社で役に立つことができます!」というアプローチです。
本気で就職したいにもかかわらず、質問に対して「シンプル」に答えすぎてしまうと損をします。最近は謙虚な学生が多いのですが、就活ではそれが不利になることもあります。意欲的な就活生に負けないように、アプローチを込めた回答ができるように、前もって準備をしておきましょう。
どんなことでも材料になる
■実体験に基づくエピソードを探そう!
自分なりに考えて行動し、取り組んだことであれば、どんなことでも材料になります。『学生時代に頑張ったこと』のエピソードとして代表的なものは、サークル活動・部活動・アルバイト・ゼミ・研究室での実験・資格取得のための勉強などでしょうか。
でも、これらの経験がなくても『頑張ったこと』はあるはずです。自分なりに「考え、行動し、取り組んだもの」であれば何でも良いのです。実体験に基づく具体的な内容であれば、それが十分にエピソードとして使えます。
※実例です
ある学生が、アルバイトの経験がなく、サークル活動もしておらず、全くエピソードがないと悩んでいました。エピソードがないために自信を喪失し、就活に恐怖症のようになり、気持ちが沈んでしまって相談に来たのです。
なぜアルバイトなどの経験がなかったのか理由を聞いてみたところ、自宅で母親が祖母の介護で忙しくしていたため、なるべく母親を手伝いたいと考え、休日は自宅で母を手伝っていたそうです。母親を助けたいと祖母の介護を手伝う気持ちも、その行動も素晴らしいものです。そのエピソードを『頑張ったこと』に書いてはどうかとアドバイスしました。
その内容で良いのかと本人は心配していましたが、結果的に優良IT企業から内定をもらい就職しました。実体験に基づくエピソードであれば『母をサポートすることを頑張りました』でも、十分にその人のやさしい人間性が伝わります。
『社会人基礎力』を意識して回答するのがポイント!
何度もお伝えしていますが、企業側は『そのこと(頑張ったこと)』を通して、あなた自身の基礎となっている能力を知りたいと考えています。回答するときのポイントとして、その能力要素を明確に表現することで、さらに効果的になります。社会人として仕事をする上で必要となる『社会人基礎力』(行動力・思考力・チームで働く力など)を養ってきた経験を上手にアピールすることで、さらに魅力的な回答になります。
■社会人基礎力とは
2006年に経済産業省が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として提唱しました。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されています。平成29年度には『人生100年時代』という視点で、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力として『人生100年時代の社会人基礎力』が新たに定義されました。2006年に発表された『社会人基礎力』は基盤となっており、その重要度は増し、人生100年時代に向けて『常に学び続け、常に自らを振り返りながら必要なスキルをアップデートしていく』という新たな考え方が追加されています。
それでも『頑張ったこと』が見つからないなら
それでもまだ頑張ったことが見当たらないなら、様々な経験をさらに振り返ってみてください。経験をひとつずつ思い出して、そこであなたが少しずつでも身につけたものはありませんか?
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